私事なのですが、うちの子が公立の通信制高校に通っておりまして、その素晴らしさに色々感動したのですが、
通信制高校についてざっと検索しても、私立の通信制高校のサイトか、アフィリエイト目的の薄い内容のサイトしかなかったので、実際に通っている人目線の体験談として記事にする事にしました。
これから通信制高校への転学や入学を考えている方の参考になれば幸いです。
元々全日制の私立高校に通っていたのですが、その学校は土曜日も授業があったり、規則が厳しかったり、理不尽な規則に先生や保護者が抗議しても校長が受け入れなかったりと、思った以上に縛りがある学校でした。
2年は通ったのですが、ストレスで過敏性腸症候群のような症状が出て、授業時間じっと座っているのが辛いと言い始めました。
担任の先生やスクールカウンセラーさんにも相談して(本人が相談したいと言い)、その時は少し気が楽になるようなのですが、やはり普段の授業が辛いのは変わりなく。
不登校気味になり、本人が通信制の高校に転校したいと言い出して、色々調べて今の学校に決めました。
ですがいざ自分の子が世間一般のレールから外れて生きるとなったら、思った以上に私自身に恐れや抵抗感が出て来ました。
「大丈夫なの?」「将来後悔しない?」「あと一年なんだから休み休みでもいいから在籍したら?」
などと説得もしてしまいました。
ですが「もう絶対無理」と本人の意思が固かったのと、私自身も自分の無意識下にあった洗脳(世間一般のレールに従って生きる事が幸せ、のような)を外す事で、こういう生き方でもいいじゃないと思えるようになったので結果的には良かったと思います。
小学校入学から不登校のお子さんの親御さんたちは、早い内にこういう感情と向き合って来たんだと思うと、本当にすごいなと頭が下がります。
転学する気持ちが固まり、次は学校を調べました。通信制高校には公立と私立があり、
私立はイラストや専門的技術が学べる専門学校のような高校もあり、その点は楽しそうでしたが年額100万以上ととにかく学費が高い!
しかも入学金や、雑費を含めると150万~200万近く掛かってしまいます。
就学支援金の補助があったとしてもそれは厳し過ぎるので、転学するなら公立!とそちらに絞って探した所、ちょうど近年出来たばかりの学校が同じ県にあり、早速説明会へ行きました。
内容に納得した為、別日に簡単な筆記テストと面接試験を受けて合格、晴れて転学となりました。
公立通信制高校の良いところ:学費の安さ
最初に知った時は驚愕したくらい、公立通信制高校は学費がとても安い!です。
通信制高校は大学のように単位制で、卒業までに必要な単位を取る事で卒業できます。
(卒業までに必要な単位は74単位)
そしてうちの子が通った通信制高校は、なんと1単位が100円という安さでした。
年間30単位まで取る事が出来るのですが、その場合年間の授業料は3000円になります。
ここまで安いのはうちが地方都市なのもあると思います。公立でも東京辺りでは1単位300円位と記載されたサイトが多かったです。
他に必要なのは生徒会費や教科書代ですが、それらを合わせても年間2~3万です。
全日制の公立高校と比べても格安です。
さらに単位を取る為の費用は就学支援金の対象の為、対象家庭は授業料は0円となります。
就学支援金についてはこちら
高等学校等就学支援金制度:文部科学省
生徒会費や教科書代は就学支援金の対象ではありませんが、低所得世帯には『高校生等奨学給付金』という年に一回5万~15万円が支給される制度もありますのでその場合、生徒会費や教科書代、月に数回の通学の交通費等も結果的に無償となります。
高校生等奨学給付金についてはこちら
高校生等奨学給付金:文部科学省
また、うちの子が通った通信制高校では、生徒本人が既に就業している場合は申請すれば教科書代は還付されるという、素晴らしい援助具合でした。
公立通信制高校の良いところ:自由度が高い=自主性が養われる
私が一番良いなと思ったのが、通信制高校は普通の高校よりもずっと自由度が高い事です。
制服もありませんし、髪型も髪色もピアス等も何の制限もありません。
18歳になれば、まだ高校生でも車の免許も取れます。
基本的なルールさえ守れば、あとは全て自由なのです。
これにはうちの子よりも私の方が感動したくらい。
また、単位を取る為にどの授業をどの時期に取るかなど、入学後のオリエンテーションで先生と1対1でじっくり相談して決める点も、受け身な普通高校とは全然違います。
後で述べますが、通信制高校は色々な面で自分から動かなければいけないので、自主性が鍛えられると思います。
公立通信制高校のデメリット:受け身タイプには向いていない
デメリットかどうかはその人によるとは思いますが、まず一つ目は先ほど書いた自由度が高い、という良い点が、受け身のまま何も考えずにいるとデメリットになりえる、という点です。
どういう事かというと、普通の高校と違って通信制高校では先生がいちいち、世話を焼いてはくれません。
例えば、通信制高校では単位を取る為に、月に2回のスクーリングに出席したり、『レポート』を既定の回数提出して添削して貰わなければいけないのですが、
それを忘れて単位がギリギリになったりうっかり落としてしまったとしても、先生の方から電話で「単位が危ないから早くレポート出して」「スクーリングに出席して」などと教えてくれたりはしません。
完全に生徒の自主性に任されています。
(その辺りの話は入学時のオリエンテーションでしっかり伝えられます。なぜ詳しいかというと親も一緒に出席しても良かったので、私も聞いていたからです(笑)
なので、これまで中学や普通の高校しか通っておらず、受け身で先生の言う事をただ聞くだけのスタイルに慣れ切っていると、自分で考えて動いて質問しなきゃいけないスタイルに戸惑うかもしれません。
実際うちの子も、思い込みでこれでいいと思っていた事が実際は違っていて、慌てた事があります。
なのでそれ以降分からない事があったら、スクーリングで実際に先生に会った時や、電話で質問するようになりました。
また、進学・就職の時期になっても、全て自分で調べて自分でオープンスクールにも、受験にも行かなければいけません。
普通の高校みたいに、先生がお膳立てしてくれて皆でオープンスクールや受験会場に行くような事はありません。
受け身で何も考えずにいたい、先生に全部お膳立てして貰いたいというタイプには向いていないのは確実です。
公立通信制高校のデメリット:友達が出来にくいかも?
通信制高校は、基本在宅での自主学習です。
一応、月に2回程度(必須ではない。学習状況に応じて)スクーリングといって、実際に学校に出向いて授業を受ける機会があるのですが、
自分から積極的に人と関わるのが好きなタイプでないと、友達が出来にくいかもしれません。
うちの子はそういうタイプではないので、その場で数回喋ったりはした、という人はいたようですが、休みの日まで一緒に出掛けるような関係の友達はいませんでした。
今も交流があるのは、やはり全日制の高校に通っていた時に仲が良かった子ばかりです。
まあ、この辺りは性格にもよると思うので、一概には言えません😅
通信制高校の授業:スクーリング・レポート・テスト
通信制高校の授業風景などがどういうものなのか、書いてみたいと思います。
まず、前述したように基本は在宅で自主学習です。
そして月に2回、スクーリングといって実際に学校に行き授業を受ける必要があります。これは普通の高校での授業と同じです。
ただ、通信制高校は各地から生徒を受け入れているため、遠方から来なければいけない生徒も多いので、各市にスクーリング会場があります。
大抵はその市の高校などを日曜日に貸して貰って、先生をそこに派遣して授業をするスタイルです。
うちの子が通っている通信制高校も、自宅からは車で2時間かかる場所にある為、普段はうちの市にある学校にスクーリングに行っていました。
体育やレクリエーション活動(これも単位が貰える)は実地で参加して授業を受けないと単位が貰えないので、うちの子も面倒がりながらも出ていました😅
そして既定の回数レポートを提出したら、テストを受けます。単位を取って、このテストに合格すれば進級や卒業が出来ます。
どんな世代の人が通っている?
どんな世代の人が通っているのか、私も気になりました。
学校が自宅から車で2時間なので、説明会や入学式などは大体私が車で連れて行って、ついでに一緒に参加したりしていたのですが、
入学式の時にはうちの子と同年代(高校生くらい)の子か、それより少し上なのかな?という子が殆どで、通信制のイメージだった大人や年配の人の姿はほぼありませんでした。
地元でのスクーリングの時には、子供の話によると年配の方もいらしたそうですが、大多数は同年代だったみたいです。
昔と違って、自由を求める高校生が、縛りの多い普通の高校より自由度の高い通信制高校を選んでいる印象を受けました。
実際、体育の授業の時に会ったうちの子と同い年の子は、中学を卒業してすぐ通信制高校に入学したと言っていたそうです。その子は隣の県から来ていました。
入学式に来ていた子たちも殆どが転学ではなく、初めての高校進学に通信制を選んだというスタイルが多かったです。
そしてうち同様、親同伴で来ている子も多かったですね。
理不尽な校則もないし、授業料は激安だし、ちゃんと進学も就職も出来ますし、自主性も養われるし、私は通信制高校は素晴らしい選択肢だと思います。
まあ、いい大学を出ていい就職先に……のような一昔前の価値観を持っているタイプの人には向かないかとは思いますが……
そういった価値観も、結局は私たちをお金の奴隷にして縛り付けておくDSの政策だと思うと、もうこれからの時代には必要ないんじゃないかな、と私個人は思うんですけどね。
参考になれば幸いです。
nhicnttcanthoによるPixabayからの画像